「市場調査」「ターゲティング」について、これまで事例を通してご紹介してきまし たが、今回は、「自社の商品やサービスをお客様にいかに認知してもらうか?」つまりポジショニングについて考えます。

ポジショニングとは、ほかの企業・店舗との棲み分け・陣地取りを戦略的に行うことを言いますが、大切なことは、以下の2点です。

  • (1)明快でシンプルであること
  • (2)ターゲットとの整合性が取れていること

そして、ポジショニングを戦略的に実行するためには、以下の内容で理解できます。
■市場占有率とマインドシェア
■4つの戦略
  • ・差別化戦略
  • ・同質化戦略
  • ・コストリーダーシップ戦略
  • ・集中戦略

これらは、ポジショニングを理解する上で、欠かせないものですので、順を追ってご説明いたします。


市場占有率
市場占有率とは、特定の市場での自社商品の売上や販売数の割合を言います。市場の設定や指標を何とするかの基準が明確に存在していないため 、設定は自由です。市場シェアとも言いますね。

この言葉は、新聞などでもよく出てくる言葉ですので、詳しい説明は不要かと思いますが、特定の市場において、自社が何番目に属しているのか?を把握するためのものです 。





市場占有率とマインドシェアマインドシェア
マインドシェアとは、これは顧客1人1人に占める特定のブランドや商品が占める割合を言います。例えば、「テレビを買うとしたら?」という 質問に対して、顧客は特定のメーカーやブランドを思い浮かべると思います。1つの人もいれば、2つの人もいると思いますが、自社商品がどれくらいの割合で登場するか?と いうのがマインドシェアです。

これは大企業だけのものではなく、「新宿でショートケーキを買うなら?」などと限定すれば、シェア1位は十分に狙えます。このマインドシェアは、非常に重要で、顧客の消 費行動に大きな影響を及ぼします。

これらの指標は正確に計測するのが難しいため利用しづらいですが、お客様のマインドシェアを高めることが大切であることは、お分かりいただけたのではないでしょ うか。

差別化戦略
最も一般的な戦略が差別化戦略でしょう。簡単に言えば、他社にないもの、自社のオリジナルをどれだけ出せるか?ということです。大手企業も 他社との差別化を目指して活動しています。
差別化戦略は、さらに以下の4つに細分化ができます。

・特性、仕様による差別化戦略
商品、サービスのスペックや機能の面において、他社より充実させることで、付加価値をつける方法です。家電製品によく見られる戦略です。

・消費者メリットによる差別化戦略
利便性や操作性、付加サービスなどの面において、他社より改善や付加を図る方法です。簡単に操作できる携帯電話や、月々3,000円程度で購入可能な自動車販売方法の導入な どが、この戦略の一例です。

・価格と品質による差別化戦略
品質の割りに価格が安く(低価格戦略)したり、超高品質(高級化)にするなど、商品、サービスの品質を変えることで、差別化を図る戦略。高級レストランやファーストフ ード店などがこの戦略と言えるでしょう。

・バリューによる差別化戦略
上記3例と同じようですが、ブランド化やネームバリューによる差別化を図る戦略をさします。CMを多様するなど大手企業が取る戦略です。また地方に限定したブランディング 化を図る企業もこの戦略を採用しています。この戦略は、一度構築すると効果が継続しやすい反面、一度傷つけてしまうと、簡単には復活できない面もあります。


4つの戦略タイプ同質化戦略
同質化戦略は差別化戦略の逆であり、簡単に言えば、他社の商品を真似て、さらに改良したものを商品化する戦略です。

飲料メーカーは、同質化戦略を取る傾向にあります。昨今では、どこのメーカーも同じようなお茶商品を販売しているのが、良い例です。

また自動車メーカーは、差別化戦略、同質化戦略が入り乱れています。ミニバン市場やエコカー市場など、これまでにはなかった市場が生み出さされると、すぐに競合企業が 追随してきます。自動車メーカーは両方の戦略を同時並行で進めているのですね。


4つの戦略タイプ コストリーダーシップ戦略
徹底的なコスト削減による価格戦略をさします。
近年、流通企業によるプライベートブランド(PB)商品がよく見かけられますが、これは自社内で調達から生産まで行うことにより商品原価を下げているのです。結果、競合 企業に対して価格面での優位な状況を作り出しているのです。

サブプライム問題からはじまった世界不況の中で、低価格商品に人気が集まり、コストリーダーシップ戦略をとる企業が増えていますが、この戦略は、業界トップの企業が取 る戦略です。



4つの戦略タイプ 集中戦略
市場の中でも、さらにニッチな市場に資源を集中し、その市場での1位を目指す戦略です。

例えば、洋菓子という市場で考えると、最近では「ロールケーキ」や「チーズケーキ」の専門店が多いことに気づきます。これは、「ロールケーキ」や「チーズ ケーキ」に特化することで、商品の種類や顧客イメージ(マインドシェア)、経済効率、など様々な面で有利な状況をつくろうとしているのです。

しかし気をつけなくてはいけないことは、そこに十分な市場(お客様)が存在するかどうかです。 欲しい人が数十人しかいないようでは、意味が分かりません。

ではこれらの考え方を踏まえまして、【ターゲティング】のケーススタディで見た洋菓子店と不動産業者の事例で考えてみます。


洋菓子店のケース

事例で各戦略を考えてみる→洋菓子店のケースを見る
古くからある地方都市で、且つ、競合店舗が一定数存在しているエリアに出店します。当然、地元住民にはそれぞれ”馴染みの店”があるでしょう。
それを、この洋菓子店は奪う必要がありますが、同じような店では到底勝てそうにありません。
※「味がおいしい」などの要素を除きます。

従来の洋菓子店のイメージでは弱いので、例えば「焼き菓子専門店」「ギフト専門店」「○○ケーキ専門店」などのようなメージ戦略(集中戦略)を取るか、喫茶コーナーを充実させたり、包装を充実させることで、他店と差別化を図る(差別化戦略)を取ることが重要です。


不動産業者のケース
事例で各戦略を考えてみる→不動産業者のケースを見る
【ポジショニング】のコラムで「レンタルオフィス市場」への参入を決めていますが、これはまさに集中戦略です。しかし当然その市場の中でも競争は存在しますので、他社との差別化が必要にな ります。競合企業とよく比較を行い、お客様のニーズを考え、例えば「フリードリンク」や「無料秘書代行」などの差別化を図ったり、集中戦略をさらに進めて、IT業界に特化など特定の業界に限定することも方法の一つでしょう。





まとめこれまで見てきた一連の流れは、自社の商品・サービスをどこでどのような状態で、どんな価値でお客様に提供するのか?ということを系統立 てて考えるプロセスでした。

これは非常に大切な考え方で、いかに良い商品であっても、これらのプロセスを間違えれば成功はありません。ぜひ一度、自社の商 品やサービスがおかれている状況を見直してみてください。

さて次回以降では、ターゲティング、ポジショニングができた市場で商品をいかに販売していくか?を考えてみます。それは「Product(商品)」「Price(価格)」「Promotion(プロモーション)」「Place(流通)」で、それぞれの頭文字を取って「4P」と呼ばれています。

ぜひお楽しみにしていてください。


[補足]インターネットにおけるポジショニングインターネットにおける市場区分は、【ターゲティング】のコラムでも述べたように「検索キ ーワード」です。

ネット市場とリアル市場の決定的な違いは、物理的な距離が存在しないことです。
つまり、同じ商品を買うのに、近所でも遠方でも大きな差はありません。そのため、日本の全ての企業がホームページを持っているとすれば、競合企業は当然多くなります。
※地域に根ざしたWEB展開をしている業界も多いです。

そこでネットでは、集中戦略と差別化戦略が最適と一般的にいえます。
「ケーキ」や「イタリアンレストラン」などの誰もが検索しそうなキーワード(BIGキーワードという)で、勝負するのではなく、「モンブラン 和栗」や「新宿 ピザ」など のように、競合企業が適度に絞られるキーワードで勝負(集中戦略)することで、上位表示を狙うのです。

さらにその上で、競合企業よりホームページを綺麗にする、常に更新している、配送料無料、豊富なラッピング、即日連絡などの差別化を図る ことで、問合せ数や購買率をアップさせるのです。