前編に引き続き、今回は「4P(フォー・ピー)」の話です。
簡単におさらいですが、4Pとはお客様に対していかに販売するか?を考えるフレームワークでした。

そして4Pは、「製品(Product)」、「価格(Price)」、「流通(Place)」、「プロモーション (Promotion)」の4つがあり、連動していることが重要でした。

今回は後半ですので、「流通(Place)」と「プロモーション(Promotion)」です。


お客様のニーズをいかに販売につなげるか?


Place(流通)

3つ目の「P」である「Place(流通)」は、チャネルや流通範囲、調達、品揃え、場所、在庫、輸送などを指しています。

つまり、どこでどのような方法で買えるようにするか?ということです。
いかに流通させて、お客様と商品との接点を大きくするか?を考えるわけです。


自社だけで販売・営業するのであれば、流通コストはかかりませんが、当然限界があります。一方、他社に卸すことで、販売機会は増大しますが同時に流通在庫も増大する ことになります。商品の特性に応じて、最適な流通形態を考える必要があります。


また、この流通はインターネットの登場で大きく変わりました
インターネットで販売・集客することで、世界中の消費者とダイレクトにつながりを持つことが可能になりました。BtoBビジネスを展開している企業も同様です。

低コストで、ビジネスを展開できる仕組みが登場したことで、多くの既存の業態が変革を迫られています。


コンビニエンスストアの流通革命
コンビニエンスストアの流通革命

よく知られた事例ですが、コンビニエンスストアは流通を大きく変えたことで成功した事例です。

それまで各商品ジャンル毎に問屋が存在し、それぞれの問屋から各メーカーの商品が店舗に届けられていました。

ところが、コンビニエンスストアでは、全ての商品はコンビニ本部に集められ、そこから各店舗に必要な商品を全て配送しています。それもタイムリーに。その日に発注をか ければ、翌日には店頭に商品が並んでいるのです。

この仕組みのおかげでコンビニは常に新商品や売れる商品だけを店頭におくことができ、お客様の利便性の向上を実現したのです。



100円均一ショップ
100円均一ショップ

100円均一の店舗も流通の仕組みをうまく活用して成り立っています。
この物余りの時代では、必ず在庫があふれています。そこに目を付けたのが100円均一です。不良となった在庫を大量に購入する代わりに、驚くほど安く仕入れるわけです。


在庫を保有するメーカーなども在庫を置いておくよりは、1円でも売上にするほうが良いと判断し、その価格で販売しています。

景気が下降しているときに、消費者の購買意欲をとことん刺激するために、「全部100円」で販売する発想が生まれたわけですね。






3つのPとの組み合わせ

最後に4つ目の「P」である「Promotion(プロモーション)」は、広告宣伝や販売促進のことを指します。プロモーションはとても範囲が広いですが、 (1)いかに認知度を上げるか(ブランディング)と、(2)いかに訴求したいイメージを伝えるか(購買欲求の喚起)の実現の可否にかかっています。

手法は、マスメディア(テレビや新聞など)、ローカルメディア(看板や地域フリーペーパーなど)、インターネットメディア、口コミをうまく活用することで、認知度 は上がり、店頭でのSP(セールスプロモーション)や提案資料、店頭デザインなどで購買欲求を刺激することができます。
また、購入してくれたお客様のリピートを促すためのポイント付与やDM、メルマガなども、このプロモーションに含まれます。


3つのPとの組み合わせ

プロモーションは、他にある3つのPのうちどれを売り(強み)にしているかで、取るべき選択が変わってきます。

高い商品力がある場合には、ブランディングの強化(高級志向)によるファンの育成がよく見られます。バッグやアパレルのメーカーに多い事例です。


また価格(低価格)の場合は、0円キャンペーンなど圧倒的な安さでお客様を引きつけることがありますね。普及期の携帯電話やADSL回線がそうでした。

さらに流通の場合は、どこでも買える・いつでも買えるなどの利便性を訴求することで、「あそこに行けば」と消費者に思ってもらう方法が多いですね。


プロモーションは、対象となるお客様と自社の強みをよくよく見据えた上で、最も効果的な内容で訴求する必要があります。高級志向の商品を、いつでもどこでも購入で きるようにすると、うまくいくわけがありません。

2回に渡ってみてきた4Pですが、前編でも述べましたように、4つがうまく連動していないといけません。その事例をいくつかご紹介します。



家具業界の事例

最近、家具のイメージが変わってきたと思いませんか。
低価格の家具メーカーの躍進が目覚ましいですよね。これは、まさに4Pを変革した事例といえるでしょう。

  従来 新しい流れ
製品 完成品で販売 組み立て式のパーツ販売
価格 高価格 低価格
流通 各販売店からの配送
製造、卸、小売と中間業者が多い
商品の体積減少により流通コスト削減
大型店舗、直販で流通コスト削減
同一部品の利用などでコスト削減
プロモーション 高級感、耐用年数が長い、職人 ファッション感覚としての家具へ


これらの決定の背景には、消費者の「家具をシーズンに合わせて変えたい」というニーズが、高級家具を買えない若者を中心にあったということです。 商品のイメージを一新させた事例といえます。


廃棄食品の販売の事例

最近、スイーツなどを中心に「廃棄品」が販売されており、人気があるのをご存知でしょうか。
ケーキに使用するスポンジの切れ端や、見栄えが悪いため正規ルートに乗らない洋菓子、果物などの「廃棄品」が格安で販売され、人気を呼んでいます。

  従来 新しい流れ
製品 生産工程における廃棄品
廃棄率の減少が至上命題であった
「廃棄品」から「商品」へ
価格 価格なし。廃棄コストがかかっていた 格安で販売
流通 流通なし。廃棄していた 製造直売のため流通コストは限りなくゼロに近い
プロモーション なし 派手なプロモーションは欠けず、口コミで人気に

本来捨てるものであった廃棄品が商品となり、少しでも売上につながれば、これほどいいことはありません。余りに売れるため、わざわざ廃棄品をつ くる業者もいるほどです。
しかしながら、廃棄品を販売するために、正規品の売上が減少する可能性もありますので注意が必要です。


ネットで受発注を行う印刷工場の事例

印刷業界は、衰退が激しい業界として有名です。
高性能なパソコン、プリンターが各企業に導入され、インターネットの台頭も目覚しい昨今、印刷業者へ依頼するケースは少なくなりつつあります。そんな中、イン ターネット経由での受発注を専門に行う印刷業者が業績を伸ばしています

メリットは何といっても、価格が安いこと。そして、印刷業者への発注経験がなくともWEB上で全ての依頼ができ、完成品が翌週には届くという手軽さです。これも、従来 の流通形態を一新し、それに伴って他の3Pも変えることで成功しています。


  従来 新しい流れ
製品 データの入稿が一般的 パワーポイントなどのソフトで作成したものも印刷してくれる
価格 決して安くない価格のため、一般消費者はもちろん、企業も簡単には依頼できない 営業コストが大幅に削減されたことと、
日本全国から受注が可能なため、生産コストも削減
流通 営業担当と依頼主との間で何度もやり取りが発生。時間と手間のかかる作業 一括して依頼できるため、配送コストが削減。
また依頼主とのやり取りも少なくなり、コミュニケーションコストが極端に下げられる
プロモーション 御用聞き営業が主流 WEB中心のプロモーションに専念するため、営業コストがかからない。

これは、流通形態においてインターネットでの受発注専門に切り替えて成功した良い事例といえます。高機能PCの普及により、これまで印刷業者 にわざわざ注文しなかった層を中心に多くのお客様を獲得しているのです。新たな顧客層を獲得したわけです。
また、本来ローカル産業であった印刷業界が、 WEBの活用で日本全国を商圏とした事例でもあります。


「4P」から「4C」へ

これまで「4P」という概念を述べてきましたが、これに相対する概念として「4C」があります。


これは「4P」が売り手側の理論(お客様にいかに販売するか?)であるのに対して、「4C」は買い手側の理論を説明したもので、買い 手側を消費者ではなく生活者、利用者と見る必要が出てきたからです。


大量生産・大量消費の時代が終わり、少量多品種生産の時代に入りました。業種や規模を問わず、差別化をしないと生き残れない環境です。

では「4C」とはどのようなものか?「4P」と比較してみましょう。


■製品 → Customer Value(顧客価値)

お客様が商品・サービスを入手することで、どのような価値を提供できるのか?
商品・サービスを入手することで、楽しくなるのか?優越感を提供できるのか?便利なのか?
■価格 → Cost of the Customer(顧客負担)

その商品・サービスを取得するに当たり、どれだけの支出負担が可能なのか?
■流通 → Convenience(利便性)

どのような方法で入手してもらうことが、最も購入の障壁を緩和できるか?
■プロモーション → Communication(コミュニケーション)

どのような方法で伝えることが、最も購入の障壁を緩和できるか?

これは第3章や第4章で出てきたように、顧客層の購買行動や心理を知り、セグメント化されたターゲット層を調べる必要があります。

もちろん「4P」がなくなったという訳ではありません。「4P」は以前と変わらず重要な概念です。そして同時に、「4C」の視点も持っていなければ、大きな成果が得られな い時代になっているのです。

まず「4C」を理解し、そしてその分析を元に「4P」を組み立てていくイメージです。
ビジネスを行っている以上、必ずお客様が存在しています。新たな戦略を策定する前に一度お客様を改めて見つめなおし、「4C」を理解することからはじめてみてはいかがで しょうか。