情報の本質をつかむことが重要飲食店の売上は、「営業日数×稼働率×回転率×お客様単価」で構成されています。

多くの飲食店では、「お客様単価」を上げることを苦労されていると思うのですが、とある飲食店では、「お客様単価を上げないように苦労している。それで売上が上がった」とのこと。お客様単価の向上を追及していないにもかかわらず、なぜ売上が上がるのか?これまでの考えが古いのでしょうか?どう思われますか?

情報があふれている時代。情報の上辺ではない、裏側に隠されている「本質を見抜く力」が求められています。今回はその方法論について触れてみたいと思います。

情報があふれている時代。気になることがあれば、誰もがインターネットですぐに調べられます。最近では様々な研究成果を見ることもできます。つまり、専門家とそうでない人との間で、受け取りうる情報の格差が縮まってきているということ。

しかし、専門家と呼ばれる方は、以前にも増して活躍の場を増やしているように思います。
それは何故か?

ひとつに、大量の情報を取捨選択した上で、本質を見抜く力を持っているからだと考えます。
つまり、同じ情報に触れたとしても、それを利用する能力があるかどうかに尽きるのではないでしょうか。
そう言った意味では、向こう10年間で最も輝かしい職種は統計学者だろうと言われている事も頷けます。

今回はとある飲食店さんの事例を取り上げ、その重要性についてご説明したいと思います。

ケーススタディ:飲食店の売上をあげるために一般的に飲食店の売上を上げるためには、大きく4つの要素があると言われています。
それは、(1)営業日数、(2)稼働率、(3)回転率、(4)お客様単価、です。


営業日数
当たり前ですが、ひと月の日数は決まっていますので、増やせません。
また休業日をもうければ、その分だけ売上が減ります。
お店側でできることは、「何日間、営業するか?」だけです。


客席稼働率
座席数が多いお店のほうが、売上は上がりますが、座席数がそのまま売上にはなりません。
例えば、

ケーススタディ:飲食店の売上をあげるために

という4人がけの席があるとします。ここに4名が来店すればよいのですが、3名だった場合、

ケーススタディ:飲食店の売上をあげるために

と1名分のロスがでます。このような稼動状況を表す割合を客席稼働率と呼び、この場合は75%です。カフェのようなくつろぎも提供するような業態は、4名の席に2名でも案内することになり、

ケーススタディ:飲食店の売上をあげるために

客席稼働率は50%となります。お店のコンセプト、業態によって、客席稼働率は変わるということです。


回転率
お客様の来店組数が多ければ多い方が、お店は繁盛します。
座席数に対して、何組のお客様が来店したかが回転率ですが、こちらもお店のコンセプトによって大きく変わります。
例を挙げれば、ファーストフードでは単価が低い分回転率を重視しているので、そのための工夫が多く見られますね。


お客様単価
どこの飲食店でも、このお客様単価を上げようと努力されています。
ランチタイムでは、ドリンクセット、デザートセット等のセット販売が有効だそうです。
ディナー(夜)の場合は、やはりお酒の売上がポイントになるでしょうか。

通常は、お客様単価をできるだけ上げていくことを考えるわけですが、先日聞いた話では、なんと「お客様単価を上げない」という方針で成果をあげている飲食店があるらしいのです。
その会社さんは8店舗を運営していて、業績も好調なのですが、あるお店では「お客様単価を3,500円以上には上げないように努力している」ということです。

ここからがポイントです。
その話をしてくださった方は、 「今までは、『お客様単価を上げないといけない』と思ってきたのですが、最近では上げないように努力しています。その方が、結果的に儲かるんです」 とおっしゃっていました。

なぜでしょうか?皆様はどのように思われますか?

本質は「お客様単価」ではないこの話をお聞きして、わたしが思ったのは次の通りです。

「お客様単価を3,500円以上にしない」というのが業績好調な理由ですので、これまでの「ビジネスの基本は単価をいかに上げていくか」という考えを改めなければならない このお話は、たしかにお客様単価のことを論じてはいますが、根底にあるのは「そのお客様単価が集客の上限(限界)である」ということです。

もっと突き詰めて申し上げるとこの話のテーマは、「お客様単価では無くて、実はターゲットについての話」なのです。
つまり、お客様単価を3,500円以上にしてしまうと、お客様がこなくなってしまう、
イコール、そのお店のターゲット層ではお客様単価3,500円が上限のお客様である。
そういうターゲットなので、当然ながら単価を上げてしまうと集客できません。3,500円を維持するようなメニュー設定にするのは必然なのです。

ターゲットがテーマの話題で、たまたまその切り口がお客様単価だった訳です。しかし、話を短絡的に考えてしまうと「単価を上げない方が儲かる」というノウハウにも聞こえます。

なぜか?を考えるフレームワークさて、今回は飲食店さんの事例を参考にしましたが、こういった話はよく耳にします。会話の中で何気なく話されていたりしますが、しっかりと「フレームワーク(考え方、考える道筋)」を意識することで話の本筋がよく理解できます。
お客様単価は高いほうが良いに決まっています。
ただ、そのお店のターゲット層を考えると、3,500円が上限だったのです。
当たり前ですが、高級フレンチレストランや高級バッグメーカーが販売価格を50%OFFにするでしょうか?・・・やはり、しないですよね。

今回の話は以下のような「フレームワーク(考え方、考える道筋)」に沿って考えることで、スムーズに理解できるのではないでしょうか。


フレームワークの概要

【市場調査】 お客様の状況を調査し、知る。
【ターゲティング】 市場調査で得られた結果をもとに、どのターゲットにビジネスを行うかを決定する。
【ポジショニング】 そのターゲットに対して、どのような価値を提供するのかを決定する。
【4P】 商品、価格、立地、手法、販売促進などを決定する。
【実行】 実際に行う。
【検証】 計画通りに行われたかを検証する。

お客様単価の話は、4つ目の「4P」の内容であったものの、実際には、それより上の「ターゲティング」や「ポジショニング」の話だったのです。
ターゲットであれば、男性/女性、世代、趣味、嗜好などお客様をより深くイメージ、理解した上で、どのような価値を提供するのか?というポジショニングを決めることで、営業日や営業時間、商品や価格(お客様単価)が決まってくるのです。
つまり4Pについて、一貫性があることが重要だということです。
その一貫性のポイントは、やはりターゲットやポジショニング、つまり「誰に何を」だということですね。