検証を行うことで、成長が見える

どんな業種であれ、日々の業務はルーティン・ワーク(繰り返し)だと思います。

販売もしくは営業することで収益を高めています。ですので、当然ですが、昨日より今日という具合に「改善」していくわけです。


そこで重要になるのが、過去の実績を「検証」して、何が良くて何が良くなかったのかを「分析」することです。


今回は前回に引き続き、「実行と検証」をテーマにお話いたします。また、これまでの全ての章の総まとめでもあります。

確実に実行するために

では、具体的に「検証」とはどのようにするのか?ですが、実は検証作業は簡単ではありません。


例えば、20万円分の広告に対して、どれだけ収益に貢献したか?は、分かりづらいものです。皆様にもお分かりいただけるのではないでしょうか。


売上というのは、広告だけではなく、ライバルの存在、景気、季節、口コミ、商品ライフサイクル、接客、営業・・・と様々な要因が複雑に絡み合って生まれます。1人のお客様が、広告によるものなのかどうかは、簡単に判別がつきません。

そこで今回は、数値化をキーワードに、「ROI」と「KGI、KPI」という概念を用いてお話いたします。

ROIとは

ROIとは、投資対効果という意味で、Return on Investmentの略を表します。ROIの求め方は、以下の通りで、簡単に言えば、お金を払っていくらの儲けたのか?を表すものです。

ROIを求める式

元々は株式投資の世界での言葉でしたが、広く経営用語として定着してきています。このROIの概念を用いれば、広告にも販促などにも活用ができます。



<事例>アパレル小売店Aでの広告

ここでは、アパレル小売店Aの広告出稿を例に考えてみます。
A店は、地域のフリーペーパー2誌に広告を出稿したとします。

※両誌への出稿内容は同じで、どちらにも10%割引のクーポンを付け、どちらのフリーペーパーを見ているかが分かるようにしています。


誌名 広告予算 発行部数
X誌 10万円 20万部
Y誌 20万円 30万部

結果は、以下の通りでした。また粗利率は40%とします。


誌名 購入者数 売上 利益
X誌 18人 30万円 12万円
Y誌 30人 40万円 16万円

<両誌でのROIを計算>

X誌の場合
X誌の場合

Y誌の場合
Y誌の場合

X誌の方が120%で収益性が高いと言えます。またY誌は、今回の結果から広告はやめた方が良さそうです。


※アパレル小売店の場合、リピートしてくれる可能性もあるため、リピートによる売上も考慮すれば、Y誌も継続する価値があるかも知れません。過去のリピート率などから計算してみるとよいでしょう。

※広告出稿の目的が店舗の周知などの場合、特に開店当初などは、赤字であっても継続してよいでしょう。



両誌でのROIを計算

冒頭でも書きましたように、広告は必ず正確な数値を取れるわけではありませんので、実際には判断が難しいでしょう。数ヶ月に渡って広告を出しても目に見えた効果が出ないようでしたら、やめるべきだと思いますが、1回だけでの判断は時期尚早かも知れません。

また、少しでも広告を見たお客様と判別するために、割引などの特典を付けるのが効果的でしょう。

よく見かける事例だと思いますが、ここで注意したいのは、「万人が利用するもの」を特典にすることです。例えば、10%割引なら万人に同じメリットがありますが、「○○をプレゼント」にした場合、興味のない人は、広告を見て来店しても特典を提示しません。


ROIで検証

ROIは、広告や販売促進などのような費用をかけて売上を上げようとした時の検証に向いています。ROIの数値が低いものはやめ、また効果の高い広告や販促方法を見つけることが、収益性を高めるために有効です。


そのためには、様々な手段を試してみる必要があります。他の企業の成功事例が、自社にも適用できるとは限りません。まずは、どのような手段が存在するのかを調べてみることから始めるのはいかがでしょうか。

KPIを用いて検証を行う
KPIとは

KPIとは、key performance indicatorの略で、意味は「目標を達成する上での重要(key)となる指標」を指します。また同じような言葉でKGI(key goal indicator)というものもあり、こちらは目標(ゴール)を数値化したものを指します。


飲食店を例で考えれば、KGIは売上高や利益であり、KPIは来店客数や回転率、お客様単価が該当します。また、WEBサイトで言えば、KGIは問合せ件数や購入数で、KPIはアクセス数や滞在時間、離脱率などが該当するでしょう。


これらKGIやKPIは、目標を達成するまでのプロセスを数値化し、その各プロセスの数値を継続的に改善していくことで目標の達成を目指すというマネジメント手法の考え方です。


設定する指標や具体的な数値基準は、目標によって異なるため、予め何を指標とするかを決めた上で、どれくらいの数値が目標達成に必要かを算出します。



<事例>訪問販売でセールスを行う企業Bの場合

ここでは、企業向けの商品を販売している企業Bを例に考えてみます。企業Bは、商品を訪問販売による方法で販売しているとします。
またKGIを売上目標である3,000万円とします。下記表の通りです。


商品単価 100万円
営業社員 10名
営業方法 訪問販売
売上目標(KGI) 3000万円

これらの条件から、1人当り毎月3件の受注で目標の達成となるわけですが、この営業プロセスをさらに分解していきます。


営業プロセス

<両誌でのROIを計算>

上記の例で言えば、「営業率」と「受注率」がKPIになります。ここで大切なことは、必ず数値化できる指標を設定することです。


では、1人3件の受注をするためには、何件の飛び込みが必要なのでしょうか。いくつかのパターンで見てみます。


必要な飛び込み件数 100 150 200 300
営業率 10% 10% 5% 5%
受注率 30% 20% 30% 20%
受注件数 3 3 3 3

これで、1ヶ月に必要な飛び込み件数が分かりました。
さらに、ここから1日当りの飛び込み件数も計算できますね。20営業日で計算すれば、算出できます。

KPIの概念を用いることで、数値化が難しい営業活動は、プロセス毎に数値化されますので、成果だけでなく行動管理でのマネジメントも可能となります。



KPIで検証

このKGI、KPIを使うことで、営業行為のどこを改善すれば、さらに成果が出るかが分かってきます。

受注率が低い場合は、営業資料や営業トークの見直し、アプローチ頻度を変えるみることで、数字は大きく伸びるかもしれません。

また、客観的な数値を用いることで、各営業社員の比較が可能となります。

検証は継続的な改善行動=マネジメント

「検証」は振り返りであり、行動の結果を分析することで、改善や継続の判断を行うための材料とするものですが、うまく活用することでマネジメントの手段としても使えます。


ここで重要なことは、数値化することではなく、数値化された指標をもとに改善を繰り返すことなのです。小売業にはPOSレジが導入されているケースが多いですが、蓄積された数値を改善行為に使わない手はありません。


日々の業務において、数値化できるものがないか?何に活用できるか?をぜひ考えてみてください。

ネットは数値化されている

「検証」は、継続して発展させていくために不可欠な要素ですが、正しく数値化することが難しいため、簡単には出来ませんでした。

しかしネットの世界では、比較的簡単に数値化ができます。「アクセスログ」があるからです。


WEB広告で代表的なPPC広告を例に見れば、検索結果画面にどれだけ表示され、どれだけクリックされ、1クリック当り単価がいくらで、最終的にいくらの売上につながったか?が全て数字で出てくるからです。


このように、費用対効果がとても分かりやすい性質を持っているため、WEB広告は、その市場を大きく拡大していると言えるでしょう(もちろん、その他の要因もありますが)。


広告や販促の予算を配分される際には、WEB広告も打つ手の1つとして、検討される価値があるのではないでしょうか。