皆様は自社のお客様について、どれくらい把握されていますでしょうか。お客様の属性、購入頻度、購入商品・サービス、金額など、どれくらいお分かりでしょうか。少し考えてみてください。


最終章である今回は、これまでの回のような新規をいかに獲得するかという内容ではなく、既存のお客様といかに良好な関係を築き、それを売上に結びつけるかについて、考えてみます。

CRMについて

CRMという言葉をご存知でしょうか。CRMとは、Customer Relationship Management の略で、顧客との関係を継続的に築きあげ、売上や利益を向上させる仕組みや手法のことを言います。

CRMは顧客を複数のランクに分類し、その分類毎に適切な施策を行うことで、効率的に満足度を高めていくわけです。
このように書くと、不平等という感じもしますが、世の中では様々なところで目にすることができます。

例えば、「ポイントカード」。これも、CRM施策のひとつです。ポイントカードはより多くの商品を購入してくれる顧客には、ポイントが貯まり、結果としてキャッシュバック等の特典を与えてくれるものですよね。


また、クレジットカードは、ゴールドカードやプラチナ、ブラックというように利用者を収入に応じてランク分けしています。より上位のカードには、より多くの付帯サービスが付いています。


以上の事例から、企業はお客様を必ずしも平等に扱うわけではなく、より利益をもたらしてくれるお客様を優遇しているのです。
そして、これは何も目新しいものではなく、大昔からあった経営手法でもあります。「常連」という言葉があるように、常連のお客様には、昔からよりきめ細やかなサービスが提供されてきました。


パレートの法則

一般的に、売上の80%は、顧客全体の上位20%から稼ぎ出されると言われています。また、同じく売上の80%は、全体の20%の商品から稼ぎ出されていると言われています。これは、パレートの法則と呼ばれ、様々な面で適用できる概念として有名です。


また、新規でお客様を獲得するコストは、過去のお客様から買ってもらうコストの5倍かかるとも言われています。


これらのことから、新規獲得が重要であることは言うまでもありませんが、既存のお客様からの売上をより向上させる仕組みがいかに大切であるかが、お分かりいただけたのではないでしょうか。




では、CRMを導入するためには、どうすればよいのか。簡単にステップをご紹介します。


  • 1.顧客データベースの整備
  • 2.様々な切り口で、顧客を分類・ランク分け
  • 3. ランク毎のニーズに合わせた施策実行


1.顧客データベースの整備

お客様のデータベースがなければ、何も始められません。まずは、お客様をどんな軸で分類し、そのデータをどのようにすれば取得できるかを検討してください。主なものを以下に記載します。


  BtoC企業 BtoB企業
基礎属性 世代、性別、家族構成、住居地区、年収、連絡先 法人区分、利用者、決裁者、業種、所在地、連絡先
行動属性 初回購入日、購入頻度、購入金額、購入商品
来店頻度
契約日、金額、契約商品、契約頻度
商品・サービスの利用頻度

自社に必要な属性を決めたら、Excel®などで管理してください。また、専用のソフトやシステムなどもありますので、用途・規模に応じて選択すべきでしょう。


2.様々な切り口で顧客を分類・ランク分け

顧客データベースが整備できたら、次に必要なことは分析です。ここでは、2つの分析手法をご紹介します。


<ABC分析(パレート分析)>
ABC分析とは、基準となる軸での重要度に応じてランク分けを行い、各ランク毎に施策を講じるための分析手法です。ここでは、取扱商品の売上から3つに分類してみます。


ABC分析(パレート分析)
このように、商品・サービスを分類することで、重点的に管理すべき商品を定めることができます。また同時に、販売を取りやめるべき商品・サービスも見えてきます。

<RFM分析>
RFM分析とは、お客様を以下の3点でランク分けする分析手法です。


  • ・Recency(最新利用日)
  • ・Frequency(購入頻度)
  • ・Monetary(購入金額)

各項目毎に3〜5段階に分類し、項目間でクロス集計を行います。集計の結果、3項目との高い数値を示す顧客グループは、自社にとって最も優良顧客(ロイヤルカスタマー)であり、その逆は、販促を行っても購入の見込みが低い顧客と判断ができます。


RFM分析


このように顧客を3つの視点で分類することで、どの顧客が優良顧客であるかが一目瞭然になります。


3.ランク毎のニーズに合わせた施策実行 ランク毎のニーズに合わせた施策実行

顧客の分類ができれば、各分類・各ランク毎に、商品開発、販売促進を計画・実行します。ここで重要なことは、最上位ランク顧客には、継続的な関係を構築することと同時に、下位ランク顧客を、より上位ランクへと導くためのプランです。
限られた経営資源を配分するに当たっては、上位ランク程、コストをかけることは言うまでもありません。


CRMは、導入後すぐに成果が出るわけではありません。顧客との継続的な関係構築を目指すものであり、中長期に渡って実行すべき経営戦略です。

皆様もこの機会に、顧客との関係をぜひ一度考えてみてください。